カバンを自分で修理|レザーパーツを自分で交換するやり方解説

カバンを自分で修理|レザーパーツを自分で交換するやり方解説

カバンのストラップなどに使われがちな合皮のパーツ。いつのまにか加水分解でボロボロ…なんてことありませんか。捨てるのはもったいないけれど、使うのもちょっと…なんて状態になってしまうこともしばしばです。今回はそんなレザー(というか合皮)のパーツがボロボロになってしまったカバンの修理に挑戦。まあまあ大変な作業ではありましたが、見違えるような状態に復活し大満足。これでまた活躍してくれそうです。本ブログではレザーパーツの交換方法や実際に試してわかった作業のコツなどをご紹介。ミシンを使える人であれば、何とか修理可能なので、使えないけれど捨てられないカバンをお持ちの方はぜひ自力での修理に挑戦してみてください。

レザーパーツを交換したバックパックのビフォーアフター

まずはレザーパーツを交換したリュックのビフォー・アフターをご紹介します。以下が補修前。

ベルト状のハンドル部分、紐状の留め具、それらを固定しているパーツなど、合皮部分が加水分解してしまいボロボロです。それらを作り直して修理しました。

以下が補修後の姿。

ぱっと見はよい感じになっています。よく見ると微妙な部分もありますが、まあ誰もそんなことは気にしないでしょう。

今回、合皮からレザーに変えたので、高級感が生まれたこともポイント。加水分解も起きないので、これでしばらく使えるはずです。

正直、まあまあ大変な作業ではありましたが、ミシンが使える方であれば、補修は不可能ではなさそう。レザー(というか合皮)のパーツが加水分解でボロボロ…なんてバッグをお持ちの方であれば、挑戦してみる価値はあるかと思います。

レザーパーツ補修のやり方

今回、ボロボロになったレザー(というか合皮)のパーツを作成し、作成・取り付けを行ったのですが、その際のポイントをまとめておくと以下です。

・革のカットは切れ味のよい刃物を使う

・革を2枚重ねで使う場合にはあらかじめ接着しておく

・ミシン針はレザー専用のモノを使う

・ミシンの押さえ圧は弱めに設定

・端ギリギリを縫わない(端から1.5~2mmほどが縫いやすい)

・ミシン用のガイドを使う

それぞれの詳細については以下で解説していますので、参考にしてみてください。

レザーパーツを取り外す

最初のステップは交換したいパーツを取り外すことです。かなりドキドキする作業ですが、「捨てるか交換するか」であれば、思い切ってやるしかありません。下記は背中側のパーツを取り外しているところ。

カッターナイフなどを使い、ステッチの1箇所を切れば、あとは比較的簡単に外れるはずです。場合によっては接着されていることも考えられますが、そういった場合には強引にはがすしかありません。

レザーを切り出す

取り外したパーツをベースとして、必要なパーツを切り出しました。

レザーのカットには、カッターナイフを利用しました。本体は100均で購入したモノですが、刃だけは「オルファ」という会社の「スピードブレード」という製品を利用しています。やたら切れ味がよく、レザーなどもスッと切れるすぐれもの。DIY好きであれば持っておいて損はないはずです。

以下は持ち手となる部分を切り出したところ。ベースとなったパーツが表・裏と縫い合わせてあったので、それにならって2本用意しています。

その他、各パーツを切り出します。

以下は紐状の留め具を作るためのパーツ。

紐状の留め具を固定しているパーツ。

曲線が多いパーツをキレイに切り出すのはけっこう大変でした。

コツは、「切れ味のよいカッターナイフを使うこと」です。オルファのスピードブレードを使うこともそうですし、切れ味が悪くなったら容赦なく刃を折るといったことも欠かせません。

(必要なら)レザーを接着

ハンドル部分や紐上の留め具はレザーが2枚重ねになっています。それを再現するため、まずはレザーを接着しました。

使ったのは普通の木工用ボンド(100均にて購入)です。木工用ですが、用途に「革」と書かれているので大丈夫なはず。なお、当然ながら、1枚だけで使う場合には接着は必要ありません。

木工用ボンドをヘラ(100均で買ったもんじゃ焼き用)で薄く伸ばします。そしてペタリと重ね合わせ。

端の方までしっかりと貼り付けたいので接着剤は隙間なく伸ばしておきましょう。なお、この時点ではみ出しているボンドはぼろ布で拭っておきました。

紐状のパーツは折りたたんで縫うため、やはり接着剤で接着します。

接着剤を伸ばして、折りたたみ接着。クリップを使って固定します。

クリップの跡が残らないか心配しましたが、大丈夫でした。

なお、あらかじめレザーを接着しておく理由は「縫っている間にズレるのを防ぐため」です。レザーは布と比較して滑りにくく、縫っている間にズレやすいのが特徴。しかも布と比べて伸縮しにくいため、いったんズレてしまうとリカバーが利きません。試しに接着せずに縫ってみたところ、レザーがねじれて見るも無残な結果になってしまいました。

レザーを2枚合わせにする場合には、あらかじめ接着しておきましょう。

(必要なら)レザーを縫う

レザーを縫うにあたり、針はレザークラフト専用のモノを用意しました。一般的なミシン針と比較すると、先がナイフのような形状になっており、サクサクと縫えるのがポイントです。

上記は職業用ミシン用ですが、家庭用ミシンのレザークラフト用ミシン針も販売されています。

■家庭用ミシンのレザー用針

■職業用ミシンのレザー用針

レザーは布と違い「針穴が目立つ素材」です。キレイに仕上げるために専用の針を用意しておくことをおすすめします。

以下はベルト状のパーツを縫っているところ。

緑色のフックはステッチ定規の代わりにあわてて用意したモノ。レザーはまっすぐ縫うのが難しいため、しかも、布と違って一発勝負なため、ガイドになるものがあった方がキレイに縫えます(というか、無いとまっすぐ縫うのがかなり縫うのが大変)。

専用のアイテムが無かったため、家にあった強力な磁石付きのフックでなんとかしました。キレイに縫いたい方は専用のアイテムを持っておいた方がよいかもしれません。

反対側も縫っていきます。

ガイドがあるので、ステッチの位置も簡単に決まります。

無事に縫えました。素人が作成した割にはよい感じです。

同じように紐状のパーツも作成しました。

紐状のパーツは細いので作るのが大変でした…。

ポイントは、あまり端を縫おうとしないこと。布を縫う感覚でギリギリをせめると、かなり縫いにくいうえに、簡単に針が落ちてしまいます。しかも、布と違い、レザーは一発勝負が基本。失敗すると切り出すところからやり直しです。

今回は端から1.5~2mmの位置を縫いました。

その他、ミシンで縫うときに気を付けたのが押さえ圧。弱めに設定しました。

上記でずいぶん縫いやすくなったような気がします。

また、押さえの裏側には滑りをよくするためにメンディングテープを貼り付けてみました。が、効果があったかは微妙なところ。

とはいえ、私が気づかなかっただけで縫いやすくなっていたのかもしれません。家にメンディングテープがある方は試してみてください。貼るだけで手間はかかりませんし。わざわざメンディングテープを買うかと言われれば…という感じです。参考にしてみてください。

コバ面を処理する

レザーの切り離した端(コバ面)は毛羽立っています。また、今回のハンドル部分のように2枚の革を張り合わせたパーツは微妙に段差が生まれているはずです。まずは紙やすりを使い、コバ面をならしていきましょう。力を加えるとレザーが変形してしまうため、力は加えず、素早くこする感じがおすすめです。

続いてはコバ面を補強するために、専用の処理剤(トコノール)を塗り付けていきます。

トコノールの使い方は簡単で、指でサッと伸ばし、乾燥しない間にぼろ布でゴシゴシとこするのみです。

毛羽立ちが抑えられ、ツヤが出てきます。

ひも状のパーツなど、すべてのコバ面も同様に仕上げました。

トコノールはレザーをキレイに仕上げたい方は必須のアイテム。ベルトの自作などにも使えます。なお、ベルトを作成した話は以下ブログにて紹介しているので、気になった方はチェックしてみてください。

パーツを縫い付ける

パーツをつくれば、あとは本体にとりつけていくだけ。日常的にミシンを利用している方であれば、特に難しいことはないはずです。

以下はハンドルや留め具を縫っているところ。

表側の留め具も同様に取り付け。

全部取り付けて完成です。以下は補修後の全体像です。

すっきりキレイになりました。

これでまたしばらく愛用できます。ちなみに、リュックの底部分も自分で交換しています。その模様は下記ブログにて紹介しているのであわせて参考にしてみてください。

リュックのボロボロになったレザーパーツは自分で交換可能

以上、バックパックのボロボロになったレザーパーツを自分で交換してみた話でした。正直いってまあまあ大変でしたが、やってやれないことはないというのが印象でしょうか。こういった作業を楽しめる方であれば、やりごたえのある作業です。挑戦してみたい方は今回ご紹介したようなポイントを踏まえ、チャレンジしてみてください。

ボロボロになったレザーパーツを交換すると、見た目が大きく変わります。捨てるしかない…なバッグも復活するかもしれません。お気に入りのバッグを自分で修理すると、さらに愛着がわきますよ。

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