ずっと気になりつつ敷居の高さから手を出せずにいた金継ぎ。道具をそろえるのも大変そうだな…なんて思っていたところ東急ハンズで初心者向けのセット(一通りそろっているみたいです)を発見。まったくの金継ぎ初心者が挑戦してみました。というか挑戦中です。というのも、本格的な金継ぎはとにかく時間が必要で「このまま2週間待ちましょう」といった工程が多数あり、簡単には先に進めない(それがまた楽しい)のです。ということで、最初の2工程である「漆固め」と「接合(麦漆接着)」を済ませた時点での使用感などをお伝えしていこうと思います。金継ぎキットに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
購入した金継ぎキットはコレ
東急ハンズで購入した金継ぎキットです。播与漆行という会社の「金継初心者セット」。お値段は8,000円くらいでした。コレが高いのか安いのかは正直よくわかりませんが、とりあえず一通りそろうってことを考えますと、俄然ありかなと思ってます。
まともにすべての道具をそろえると、もっと高くなるはずなので。あるいは、手持ちの道具を工夫すれば、もっと安い値段で出来るのかもしれませんが、ハードルが上がってしまいますからね。
※2021年4月現状、アマゾンでは売り切れているようですが、楽天では販売中です。
金継ぎセットの気になる中身
金継ぎセットって何が入ってるの?と気になる方も多いはず。そこで今回購入した金継初心者セット(播与漆行)の中身を紹介していきたいと思います。
必要な道具セット
セットに入っている材料は以下でした。
- 透漆(マニキュア的な筆付き)
- 弁柄漆(マニキュア的な筆付き)
- 定盤(作業するプラスチックの台)
- プラスチックへら
- 小麦粉
- 竹へら
- 刻苧綿
- 木粉
- 真綿
- 砥粉
- 純金粉
- 砥石
- メノウ
- タコ糸
- 手袋
- ためし用台紙+綿棒
- 洗油
なお、含まれている道具はホントに最低限といった感じです。例えば砥石は写真のサイズ。かなり小さいです。
金継ぎをやっていく上で足りなくなったり、「もっとこんな道具が欲しい」みたいな気持ちになれば、必要なモノを買い足してアップグレードしていく感じですね。
もちろん本セットを使い切らないままに金継ぎを辞める可能性も大ですが…。まあそんな意味でも、とりあえず最低限の道具がそろっているというのはありがたい気がしています。
シンプルで読みやすいマニュアル
セットには最低限のマニュアルがついているので、とりあえずそれを見ながら作業が可能です。本筋だけをシンプルに書いているので「とりあえず試しにやってみよう」という方には便利そうです。
ただし、このマニュアル、作業のポイントや道具の清掃方法など、細かな部分にはほとんど触れられていません。困ったときの参考書として金継ぎ入門的な本を持っておくことをおすすめします。
私は「ゼロからの金継ぎ入門(伊良原満美・中村真)」という本を参考にしました。写真も多く、各工程で気を付けるべきポイントが取り上げられているので、キット付属のマニュアルを補ってくれます。
ただし多くの金継ぎ本は話やたらマニアックか、あるいは金継ぎ風のやたら簡素なパターンかの何れかです。
本書もしかりで、中身はけっこうマニアック。金継ぎ未経験者がこの本だけを読んでいると「こりゃ自分には無理そうだ…」と思ってしまう可能性が大です。というか私がそのパターンでちょっと諦めかけてました。
なので金継ぎ初心者の入門としては一通りそろうキットを購入して実際に作業しながら、本で各工程のポイントや意味をチェックするというのが良さそうです。
英語版のマニュアル
上記マニュアルを英語にしたものもセットには含まれています。Kintsugiで英語検索してみると、海外の反応もあるようなので、日本好きな外国の方にプレゼントするなんてことも良いかもしれませんね。
体験教室無料チケット
キットを販売している播与漆行では金継ぎ体験教室を実施しているようで、その案内と、体験教室無料券は入っていました。とはいえ、本セットを購入したとき世の中はすでにコロナ禍…。体験しないまま今に至ります。まだ使えるのかしら…。ちなみに教室は御徒町駅と秋葉原駅の間くらいでやっているようです。
なお本金継ぎキットを購入したのはコロナ禍が叫ばれ始めたころ。家にこもって楽しめる趣味用に買いました。そこからずいぶんと時間が経っていますし、コロナの状況も時々刻々と変化しています。現在も教室無料チケットが入っているかは不明ですので、その点にはご注意ください。
工程1:漆固めに挑戦
キットを眺めていても割れた器はくっつかないので、挑戦してみることに。最初の工程は割れ目に透漆を塗って固めるという「漆固め」です。たぶん接着の下地をつくる工程なのだと思いますが、詳しい説明は無かったので、詳細は不明です。
キットの透漆はマニキュアのような小さな筆がついているので、それで薄く伸ばす「だけ」。簡単だと思いきや、漆は想像以上に粘り気(ミキプルーン的な感じ)があり、うすく伸ばすのは結構大変です。
透漆を塗った後はキットが入っていた箱に入れて、蓋をして1日待ちます。漆は湿度が無いと固まらないそうで、本来ならば湿度の高い箱で乾かすのだそう。キットの箱はその代わとして使えます。ちょっと気が利いてますね。
1日たってとりだしてみると、しっかりと乾燥していました。ただしここで問題が。乾燥に伴い膨張したのか、漆が膨らんで、なおかつ断面からはみ出してる…。ふくらみはともかくはみだしは良くない気がしたので、割りばしでこすってみたら割と簡単に取れました。
自分では薄く塗ったつもりだったのですが、まだまだ厚かったんでしょうね。皆様も挑戦する際は「思っているよりも薄く伸ばす」ということを心がけてください。
なお、乾燥に1日かかるので、週末の作業を考えている方は土曜日がおすすめです。日曜日に次の工程に進めるので。
工程2:接合(麦漆接着)に挑戦
続いての工程は割れた破片をくっつけるというもの。いよいよ金継ぎっぽい感じがして楽しいです。
使う材料は小麦粉と水と透明漆。これらを混ぜ合わせて麦漆を作ります。なお、私はキットに小麦粉が含まれていることに気付かず家にあったものを使いました。
そこで一瞬悩んだのが強力粉と薄力粉はどっち?ということ。「ゼロからの金継ぎ入門」を見てみるとグルテンで粘りを出すという記述があったので使うのは強力粉ですね。
とりあえず小麦粉にちょっとだけ水を入れてコネコネ。耳たぶの固さくらいまで練るとのことだったので、とりあえず小麦粉が固まるように混ぜていきます。
写真のように小麦粉がまとまったので、今度は透漆と混ぜるのですが、正直分量が良くわからない…。見よう見まねで麦漆を作ってみたのですが、かなりゴワゴワしたモノが出来上がってしまいました…。ちなみにちょっと焦っていたので写真はありません。
マニュアルや本の写真ですとへらで滑らかに伸ばせるようなのですが、伸ばすというよりも乗せるという感じに…。原因は小麦粉に混ぜた水の不足と、そこに混ぜた透漆の量が少なかったという2つの原因があった気がします。
コレが良いのかダメなのか判断できないのですが、麦漆がもったいないのでとりあえずくっつけてみることに。
さらにここで問題発生。割れた陶器の破片なんてピタッとおさまるでしょうと思いきや、案外ピタッとおさまらない…。おそらく工程1で厚く塗り過ぎた透漆のせいです。なんとか位置を合わせて、マスキングテープで固定して、箱の中へ。
ここから2~3週間乾燥させよとの事なので、とりあえず待つしかありません。なお箱が目につくと気になって箱を開け閉めしたくなるタイプなので、押し入れの奥にしまい込んでます。
金継ぎキットは今のところ楽しい!
以上、初心者が金継ぎキットを使って金継ぎに挑戦した話でした。想像していたよりも難しいのですが、それを含めて今のところはかなり楽しく作業ができています。金継ぎに挑戦してみたいという方には「今のところ」けっこうおすすめです(何しろ先は長いので)。
とりあえず2~3週間後にその後の経過をアップしようと思ってます。お楽しみに!
【追記】
続きは以下をご覧ください。思わぬ失敗があり大変なコトになってます…。