長年愛用しているブーツのハトメ(アイレット)。黒い塗装がところどころ剥げてしまい、ちょっと微妙な感じになっていました。そこで、ハトメを自分で交換することに。結果、ブーツが輝きを取り戻し、お気に入り度が大幅アップしました。作業時間は1時間程度で、費用は1,500円ほどとリーズナブル。しかも、作業が楽しく、ブーツへの愛着がわくといいことづくめ。そんなハトメ交換の方法についてご紹介していますので、自分で交換してみたい方はぜひ参考にしてみてください。
ハトメ(アイレット)交換のビフォー・アフター
まずはハトメを交換したブーツのビフォー・アフターをご紹介。もともと黒かったハトメをゴールドにしました。一気にカジュアル感が増し、同じブーツとは思えないほどに表情が変わります。
下記は元々ついていたハトメを拡大したもの。経年劣化により黒い塗装の一部が剥がれています。誰もこんなところ見ていないだろと思いつつも、本人は微妙に気になるんですよね。
試しにマッキーで黒く塗ってみましたが、さすがに効果はなく、薄いうえにすぐに消えてしまいました。キレイにするためにはハトメを交換するしかなさそうです。せっかく交換するならばと、気分転換にゴールドのハトメを装着。一気にカジュアルな雰囲気になりました。10年近く履いているブーツですが、新たな気持ちでブーツを履けそうです。
ちなみにハトメはブラック・ゴールド・シルバー・アンティークなど、さまざまなカラーバリエーションがあります。どの色にしようか悩むのも、ハトメ交換の楽しみのひとつです。ちなみに今回は「ブラックで直そうか…、いやゴールドで派手にしてみようか…いやいや派手過ぎるか…シルバーはどうだろう…うーんやっぱゴールドで!」といったことをしばらく妄想して楽しんでおりました。
ハトメを打つための道具は持っていたので、費用はハトメ代の200円ほど。ハトメ打ちを靴修理業者にお願いすると費用は1箇所500円くらいが相場(今回のブーツだと500円×16ヵ所なので料金は8,000円程度)なので、かなりリーズナブルにハトメの交換ができたことになります。なお、ハトメを打つための道具は1,300円ほどなので、新たに購入したとして、やはりリーズナブルです。
ちなみにこのブーツ。左右共につま先についた傷を自分で補修しています。補修跡、わかりますか?補修のやり方については下記でご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
ブーツのメーカーはWEINBRENNER(ウェインブレナー)というアメリカの会社。US NAVYに支給されていたチャッカブーツです。ベロの裏に書かれた製造年をみるとなんと1979年。かなり古いブーツですが、特に何の問題もないのはさすがUS NAVY支給品です。レッドウィングのポストマンチャッカを武骨にしたような形で気に入っています。
ハトメを自分で交換するメリット
自分でハトメを交換する作業は当然リスクを伴います。最悪の場合ブーツをダメにしてしまうかもしれません。けれど、自分で作業すると、費用を大幅に抑えることができますし、何よりブーツへの愛着が増すという大きなメリットがあります。
また、作業の楽しさも大きな魅力。何色のハトメにしようか思い悩み、ドキドキしながらハトメを外し、さらにドキドキしながらハトメを打ち込む。なかなか得難い経験です。こんなドキドキを味わいたい方は、ぜひハトメの交換にチャレンジしてみてください。かなり楽しいです。
ハトメ(アイレット)を自分で交換する方法
つづいては、ハトメを自分で交換する方法について解説していきたいと思います。サイズの合ったハトメを手に入れてしまえば、あとはそれほど難しいことはありません。
ハトメのサイズを測る
ハトメと一口に言っても、さまざまな規格・サイズがあります。そのため、まずはハトメのサイズをチェックしましょう。ノギスで測ったところ、内径が約4.8mm、傘径が約10.0mmほどでした。
ちなみに、家にあったその他の革靴のハトメサイズを測ってみたところ、マーチン 10ホール(イギリス製)のハトメは内径が4.5mm、傘径が9.5mm。ハトメの規格としては#300のようです。
コンバースオールスターの靴紐を通す部分のハトメは内径が5.0mm、傘径が11.5mm。ハトメの規格としては#500でしょうか。
ハトメのサイズをチェックするにはノギスがあると便利です。私の持っているノギスでは0.1mmの単位まで測定が可能。定規では難しい直径も簡単に測ることができるので、こういった作業が好きな方は持っておいて損はありません。ちなみにノギスはダイソーなどの100均でも販売しています。
ハトメと打ち具を手に入れる
サイズを測ったら、それにピッタリのハトメを手に入れます。実測した結果、内径が約4.8mm、傘径が約10.0mmということは、#350(打った後の内径が5mm、傘径が10mm)という規格がピッタリなはず。ですが、今回は入手しやすい#300という規格のハトメ(傘径が9.5mmとちょっとだけ小さい)を付けることにしました(詳細な理由については別のブログにてご紹介したいと思います)。ちなみに取り付け後の写真は以下です。
よく見ればハトメの周辺が凹んでいることがわかります。コレは、もともともハトメの方が若干大きかったからです。なのですが、誰もそんなことを気にしないでしょうし、よしとします。細かいことを気にしない方であれば、#350のハトメは#300で代用可能です。
ハトメとハトメ打ち具は以下のようなモノ。ハトメは200円ほどで、ハトメ打ち具は1,300円程度で購入できます。
なお、#300と#500のハトメは汎用性が高いので、こういった作業が好きな方であれば、打ち具を持っていても損はありません。今回のような靴の修理だけでなく、洋服のアレンジなど、さまざまなシーンで使えます。ちなみに私が持っているハトメ打ち具は20年ほど前、洋服のリメイクのために手に入れたもの。未だに現役です。
なお、手芸店に行くと(場合によってはダイソーなどの100均でも)安くてシンプルなハトメセットを打っています。小物作りなど、ちょっとした作業には便利なのですが、ブーツなどのように、分厚くてタフなアイテムの補修ですと、やりにくく感じるはず。#300のハトメであれば、差額は数百円なので、本気のアイテムを手に入れることをおすすめします。
ハトメの現物を見て選びたい方は、手芸店ではなく、レザークラフトの専門店がおすすめ。さまざまな種類のハトメに出会えるはずです。
ハトメの外し方
交換用のハトメを手に入れたのであれば、今ついているハトメを外してしまいましょう。ハトメの外し方は様々ですが、今回は下記写真のようなクイキリという道具を使いました。
非常にパワーがあるので、頑丈なハトメも簡単に外すことができます。ジーンズのリベットなども簡単に外すことができるので、リメイク好きにはおすすめのアイテムです。
ちなみにリベットを外した時の模様は下記ブログにてご紹介しています。気になった方はぜひチェックしてみてください。
なお、シンプルな構造のハトメであれば、マイナスドライバーやラジオペンチでも作業することが可能です。ただし、中にはやたら頑丈なハトメもあり(今回のブーツがまさにそう)、そういった場合には、クイキリなどを用意するか、諦めてプロに任せるかをおすすめします。ペンチでつまんでもビクともしないようなら、かなり頑丈なハトメです。
なお、ハトメを外す際には、本体のレザーにはできるだけ傷をつけないように注意する必要があります。とはいえ、作業をしているとどうしても傷が入ることもあるもの。そんな時には、「裏側だし」と割り切ることも大切です。また、穴のすぐ横の傷であれば、ハトメの金属で隠れます。リメイクはおおらかな気持ちで取り組みましょう。
ちなみに、ハトメ交換で一番大変なのが元のハトメを外す作業。コレが終われば作業の8割以上終了です。
一番上のハトメを外してみたのが下記。せっかくなので、普段はなかなかいきわたらないであろう金具の下部分にオイルを塗りこんでおきました。
初めてのハトメ打ちに挑戦という方は、とりあえず1つだけハトメを外し、次の工程へ進むことをおすすめします。「失敗した…」となっても被害が最小限で済むからです。まずは1箇所でトライアル。上手くいったら横展開してください。
ハトメをセットする
続いてはハトメをセット。ゴールドのハトメで本当に大丈夫か?派手過ぎて浮かないか?と色選びではかなり悩んだのですが、このタイミングでうまくいくことを確信しました。
今回使ったタイプのハトメは、表からハトメを通し、裏に座金を噛ませるというもの。座金は裏表があるので注意して取り付けてください。
ハトメを打ち込む
裏表を正しくセットすればあとはハトメを打ち込むだけです。土台を置いて、上から打ち具をセットして、ゴムハンマー(金づちでも可)で勢いよく叩きます。ググっと押し込まれる感覚があれば、打ち込めているはずです。
ハトメを上手く打つコツは、平らで頑丈な場所で作業すること。重くてしっかりとしたハンマー(もしくは金づち)を使うこと。そして、勢いよく打つことです。
一番上のハトメだけ交換したのが下記。オリジナルで面白い見た目になっています。このまま履くのも良さそうです。
ブランドやセレクトショップが別注したコンバースなどのスニーカーで、一番上のハトメだけが色が違うといったモノを見かけますが、ハトメを交換することができれば自分で簡単に作れます。
1つハトメを打ってみて問題ないのであれば、一気に交換してしまいましょう。とりあえずすべてのハトメを外します。
ハトメで隠れていた部分にオイルを塗り込み準備完了。作業をすすめます。下は戯れに内側のアイレットだけゴールドにしてみたもの。こういったアレンジも楽しそうです。
とはいえ、今回は遊び心を出さずに、全てのアイレットを交換してしまいます。
ゴールドのハトメにしたことで、一気にカジュアル感が増しました。ジーンズやワークパンツなどに合わせるなら、これくらカジュアルな方が使いやすそうです。最後にビフォーをもう一度。
ハトメは小さなパーツですが、ブーツの雰囲気を大きく変えることがわかります。ちなみに靴の右側に写っているのは伸びる靴紐。見た目的にはアレなのですが、我が家には小さな子供がいるため、かなり重宝してます。
ハトメを交換してブーツをリフレッシュ
以上、ブーツのハトメ(アイレット)を自分で交換した話でした。費用は1,500円ほどで、作業時間は1時間程度です。結果としては、ブーツの見た目が大きく変わって大満足。新たな気持ちでブーツを着用できるようになりました。ハトメは小さなパーツですが、ブーツの見た目に大きく作用するもの。気分を変えてみたい方はぜひトライしてみてください。自分でカスタムすると、ブーツへの愛着が大幅アップ!履くのがますます楽しくなりますよ。